Edu Memo

教育に関するあれこれ。忘れないようにメモ。

【番外】「最強の働き方」(東洋経済新報社/ムーギー・キム)書評・雑記

最強の働き方」(東洋経済新報社/ムーギー・キム)の書評メモ。

 

概要

世界的企業で働いてきたムーギー・キムさんの自己啓発本

自己啓発本ながら、上からのエラそうな書き方ではなく、筆者の失敗例を含め、面白おかしく書いている。

教育関連の本ではないけど、お母様(ミセス・パンプキン)の「一流の育て方」(ダイアモンド社)が面白かったのと、ゆるい本が読みたくなったので、たまたま家にあった本書を手に取ってみた。

 

全体の評価

☆☆★★★

理由:

①【良かったところ】読みやすい。小ネタが面白い

②【微妙なところ】おおむね賛同できるが、目新しい内容がない

③【微妙なところ】エリートとしか接したことがなさそうな人が書いた本

 

①【良かったところ】読みやすい。小ネタが面白い

この本の良さは、なんといっても読みやすいこと。

自己啓発本なので、難しい話ではないのはもちろんだが、雑誌を読む感じでパラパラ読める気楽な文体で一瞬で読める。

何より、他の自己啓発本より上から目線でないことが良い。新卒のときに自己啓発本よみあさってた時期があったんだけど、その時に読んでた本よりよっぽど参考になる。

 

あと、たまに挟んでくる小ネタというか、自虐ネタが面白かった…。

…ただ、1冊ぶっ続けで読んでると、その面白さも単調に感じで飽きてくるかな。小分けにして雑誌に載ってるなら毎号たのしく読むんだけどな。

 

②【微妙なところ】おおむね賛同できるが、目新しい内容がない

本の内容は、おおむね賛同できる。むかし働いてた会社のできる上司(投資銀行出身)ってこんな感じだったなーなんて思いながら読めた。

…が、目から鱗!という内容はなく、まぁそうですよねって内容。

たまに「意識高い系」(「マッキンゼー流」とか好きな人)への皮肉が入ってて、そこはスッキリはしたかな。

 

③【微妙なところ】エリートとしか接したことがなさそうな人が書いた本

これが、この本の一番の難点。

この筆者、上から目線にならないために、「自分は『一流』じゃないよ!」としきりに主張しているが、一般人から見たら、

あなたも十分『一流』なのよ。

 

筆者の経歴を見たら、慶応大学やINSEAD卒だったり、UBSやフィディリティで働いてたり、一般人には、それだけで十分。「一流」(筆者)と「超一流」(筆者が言う「一流」)の比較なんて、あんまり自分には関係ないなぁという気持ちになってしまう…。

 

例えば目についたのは、

・「一流のメールは簡潔」って言うけど、BtoC企業の末端で顧客対応なんかやってみ?クレームとか長々とご説明・謝罪しないと相手満足してくれないよ。。

そりゃあ、金融機関やコンサルみたいな、企業の偉い人と接する仕事であれば、簡潔なメールでいいかもしれないけどさ…。

 

・「強みと得意なことが被る仕事をせよ」っていうけど、そんなんあれば苦労してへんわーい。

しかも、筆者が言う「強み」って、「才能があり、努力も誰よりもでき、ライバルよりこだわりがあって一流の仕事ができるという」ことらしいんだが、

…普通の人、そんなんあるか?

 

それでいて、「雲の上の理想ではなく、坂の上の現実をコンセプトに、あらゆるキャリア段階の人に当てはまる…」とか言っているので笑ってしまう。どんだけ世界せまいねん。

 

◎まとめ:名前をつけると…

「なんかやる気でないなー気楽に笑える本読みたいなー」ってときに、小分けにしてダラダラ読むべき自己啓発本

「内向的な人こそ強い人」(新潮社/ローリー・ヘルゴー)書評・雑記

内向的な人こそ強い人」(新潮社/ローリー・ヘルゴー)の書評メモ。

 

概要

心理学博士であり、心理カウンセラーでもある筆者が描く、「内向的」な人間の取扱説明書。

全米ベストセラーを2014年に翻訳した書籍で、買ったまま忘れてたことに気づき、今さらながら読んでみた。

 

ちなみに、結構ながくて、2章以降は、興味のある章しか読んでない…(すみません)。

アメリカ社会で内向的人間が如何に虐げられてきたか、内向型人間の取り扱い説明、苦手な場面の対処方法等がよく分かる。

アメリカ社会の対比として、日本と北欧社会が取り上げられてるのがちょっと嬉しい。

 

全体の評価

☆☆☆★★

理由:

①【微妙なところ】長い割に内容がない

②【微妙なところ】科学的な事実なのか、単なる筆者の思想なのか、区別がつかない

③【良かったところ】内向的な人間は励まされる

 

 

①【微妙なところ】長い割に内容がない

この本、長いです。長い割に、収穫がなかった。

でも、収穫がないと感じたのは、日本社会とアメリカ社会の違いゆえかもしれない。

 

例えば、本書で語られるほど、日本社会では「内向性」に対する誤解はない。「内向的な人がマイノリティというのは誤解で、アメリカでは人口の半分が内向型!」という主張があったが、日本社会で育った私的には、「いや、世の中って普通に内向的な人の方が多くね?」となってしまった。

 

また、そんなシチュエーションある?と感じてしまった事例も多々。「子ども時代、内向的であるがゆえに、こうディスられて~」みたいな記述も、あんまり共感できなかった。

 

たぶん、日本社会ではアメリカ社会ほど、内向性に対する誤解ってないんだと思う。というのもあり、導入部分で共感できるポイントが少なく、少ししらけてしまった。(そんで、第一部は2章までしか読めなかった…。)

 

②【微妙なところ】科学的な事実なのか、単なる筆者の思想なのか、区別がつかない

本のなかでは、内向的な人間の取扱説明書のような記述がたくさんある。私も内向的な人間として、めっちゃうなずきながら読んだ。

 

でも、それが科学的な事実なのかがよく分からなかった。専門的な心理テストや書籍が引用されている部分は、科学的な事実なんだと確信が持てたのだが、それ以外の部分(大半)、特に事例ベースで語られるところなんかは、どっちなのか分からなかった。

 

③【良かったところ】内向的な人間は励まされる

良かったところは、内向的で悩んでいる人は、励まされる部分や、抜け道・解決策を本の中から見いだせうる点かな。

私の場合は、本の第三部に記載していた、パーティからの逃げ方とか、仕事の選び方とかが参考になった。

例えば、パーティに参加するのがしんどければ、企画側に回って役割をもらえばよいというのは、大発見だった…(おい)。あとは、社内のコミュニケーションに関して、外交的な人と同じ方法をとる必要はないっていうこともなるほどだった。

 

◎まとめ:名前をつけると…

難しい話がなくて読みやすいし、内向的で悩んでいる人にとっては何か発見があるだろうけど、何とぞ分量が長いので、ちゃんと読むにはしんどい本。

「モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる お母さんの「敏感期」」(相良敦子)書評・雑記

相良敦子モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる お母さんの「敏感期」』の書評メモ。

 

本の概要

モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子さんの著書。

将棋の藤井聡太さんが受けていたということで、最近ちょっと有名になった「モンテッソーリ教育」をベースにした育児書。

モンテッソーリはどういう考え方なのか、という話を一般向けに分かりやすく解説している。

 

全体の評価

☆☆★★★

理由:

①【良かったとこ】モンテッソーリの基本的な考え方がわかった

②【微妙なとこ】ちょっと時代が古い

③【微妙なとこ】体系的な話がない

 

①【良かったとこ】モンテッソーリの基本的な考え方がわかった

イタリアのマリア・モンテッソーリが、どういう経緯でこの教育法を編み出したのか。

モンテッソーリ教育では、子どもの自然な自主性を大切にするということ、そして具体的には、どういうシチュエーションで、子どもとどういう関りをもてばよいか。

本を通して、このあたりについては、非常に理解が深まったように思う。

特に、具体的な取り組み事例も載っているので、現場の人や実践したい人にとっては最適かもしれない。

 

②【微妙なとこ】ちょっと時代が古い

モンテッソーリが大切にしている考え方は分かったのだが、それが普通の教育とはどう違うのかが、イマイチ最後まで分からなかった。

比較の観点から、進学校や学習塾での学力観との対比はあるものの、この本の内容は25年前の話なので、その学力観の認識が今とはかなり違うように感じた。

例えば、今はゆとり教育を経て、生きる力や非認知能力みたいなものが割と重視される世の中になっているが(入試だってAO入試が4割の世の中だ)、本では、「進学校や学習塾は詰め込むだけの良くない教育です!」みたいな内容で、ハイパーメリトクラシー化している現代社会とは少し認識のずれがあるように思った。

しかも、今や詰め込み教育モンテッソーリと比較しなくても、よくない教育だというのは皆わかっていることであって、そこに新しさを見いだせなかった。

 

あと、時代認識で言うと、オカンは子どもにじっくり手料理作るべきだ!みたいな記述もあって、ちょっとイラっとしてしまった。できるならみんなやっとるわ!というか。

本の中の古い常識(価値観)に、ちょっとイラっとしてしまう若い読者は多かろうと思った。

(端的に言うと、モンテッソーリでないものに対して、著者がちょっと説教くさいのよね…)

 

③【微妙なとこ】体系的な話がない

筆者の相良さんは、パリのカトリック大学でモンテッソーリを学び、九州大学教育学研究科を修了されているらしいので、学術的なバックグラウンドはある方なんだと思うのだが、意外に本には体系的な話が書いてなかった。

たぶん一般向けだからかな?

特に、脳科学に関する記述は結構あてにならないもので、ご自身もあとがきで「脳科学については素人で、誤った記述があった」ということは書いていらっしゃった。

 

だからこそなのか、モンテッソーリが宗教的なもののように感じてしまった。

データやエビデンスもなく、個々人の都合の良い事例を集めた宗教本のような感じというか。。

もう少し科学的に、体系的にモンテッソーリを知りたかったというのが残念なところだった。

 

 

まとめると

初心者で、まずはゆるく勉強したい、というモンテッソーリ教育者・親にはちょうどいいかも。

ただ、やや内容が古いので、もう少し現代社会に即した内容の本は他にあるような気もする。

 

◎名前を付けると

モンテッソーリ教育の考え方をやさしく教えてくれるけど、ちょっと時代認識が古くて付いていけない人も多いかもしれない本」

「消したくても消せない嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法」(大嶋 信頼)書評・雑記

大嶋 信頼「消したくても消せない嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法」の書評メモ。

 

本の概要

カリスマ心理カウンセラーの大嶋信頼さんの本。

嫉妬や劣等感が起こる仕組みや、解消法について概説する内容。

30代にもなると、キャリアなんかでも他人に嫉妬することが増えてきて、もやもやしてたので手に取ってみた。

 

 

全体の評価

☆☆★★★

理由:

①【良かったとこ】嫉妬が起きている心の中を整理してくれている

②【微妙なとこ】3章以降、急に見失う…

③【微妙なとこ】自己啓発本>専門書

 

①【良かったとこ】嫉妬が起きている心の中を整理してくれている

2章くらいまで面白かった。

特に、嫉妬が起きてる時の自分の心の中を整理してくれる感じがよかった。

いくつかの事例も「あーわかるー!こういうとき嫉妬するわー!」みたいに共感したし、「これって私だけじゃないんだ」と思えて心が軽くなった。

嫉妬ってネガティブな感情だから、嫉妬している自分に気づくと、さらに自己嫌悪に陥るんよね…(こういう話も本書にあったな)。

 

②【微妙なとこ】3章以降、急に見失う…

2章まで、うなずきながら読んでいたのだけど、3章のミラーニューロンの話あたりから、急に話が分からなくなった。

「嫉妬は移る」という話は、理論的な説明があまりなく、腑に落ちず…。

 

あと、このあたりから、あらゆるネガティブな感情を「嫉妬」と呼んでいるところに混乱した。「いや、それは違う気持ちじゃないか?」と。。

(この書評ですら、「嫉妬だ」と言われそうだ・・・)

 

たぶん、定義や理論の話はそこそこに、嫉妬の解決法をアホでも分かるように、抽象的に書いてくれてるのが逆に理解しにくくなっている気がする。

 

③【微妙なとこ】自己啓発本>専門書

もう少し理論的な説明をしてくれる本を求めていたので、星3つにしたけど、自己啓発本としては、めっちゃ励まされた。

いかに嫉妬や劣等感といったマイナスな感情が無意味かということに気づかされた。

落ち込んでるときにこの本を読むのは、なかなか良いと思う。

 

 

まとめると

読むうちに嫉妬の感情は消え失せたし、励まされたし、さくっと読める本だったので、それはそれで良かった。

ただ、嫉妬に関する理論的な説明を求める人は、大学教授とかが書いた他の専門的な本の方が良いと思う。(この作者さんは、「カリスマ心理カウンセラー」なんだよね…)

なんか良い本ないかなぁ…

 

 

◎名前をつけると…

「嫉妬の発作が"ビビビッ"と来たときに読んだら、嫉妬の感情を持つことが全く無意味だとサクッと教えてくれる本」

「格差と貧困のないデンマーク―世界一幸福な国の人づくり」を読んで【書評・雑記】

千葉忠夫さんの著書「格差と貧困のないデンマーク―世界一幸福な国の人づくり」(PHP新書)の書評メモ。

 

本の概要

格差が小さく、世界一幸せな国と言われるデンマーク

そんなデンマーク社会の教育と労働のお話が中心に書いてある本。

著者の千葉忠夫さんという方は、デンマークで学校を開いている方だそう。

 

全体の評価

☆☆☆★★

理由:

①【微妙なとこ】日本をディスりすぎ。

②【微妙なとこ】おじさんと飲み屋で飲んでる感じ。

③【良いとこ】読みやすい。

 

①【微妙なとこ】日本をディスりすぎ

本の中で、あまりに日本の教育や日本の子どもがディスられていて、ちょっと気分が悪くなった。

筆者も、デンマークのいいところだけを書いていると「おわりに」で明言していたのだけど。。

気遣いの在り方とか、その社会の文化じゃね?みたいなところがちらほら。

序盤で「最近の若者は・・・」って言われている気分になり、あまり真面目に読む気がしなくなってしまった。がんばって耐えながら最後まで読んだけど。

 

②【微妙なとこ】おじさんと飲み屋で飲んでる感じ。

データに基づいて、日本の何が良くて&悪くて、だからデンマークのこういうところを取り入れよう!って具体的に書いてくれたらいいのだけど、日本とデンマークの比較もあいまいなまま、デンマークのいいところの主張&日本ディスりが進む・・・。

アマゾンのレビューに、「粗雑な分析と決めつけが気になる」と書いていた人がいたけど、大いに同意。

そうかもしれんけど、主観じゃね?ってつっこみたくなるとこ多々。

内容はおもしろいんだが、物知りおじさんと飲み屋で飲んで話を聞いている感がすごかった。参考書や教科書にはならないなぁと。

 

③【良いとこ】読みやすい。

①②でボロクソ言ってるけど、逆に言うと、ものすごく読みやすかった。

飲み屋でおじさんの話を聞いている、つまり、難しいことは一切書いていない。難しい表現もない。一瞬で読める。

北欧社会の雰囲気をつかむにはいい本なのかなーと思った。

 

具体的に印象に残ったデンマーク社会の特徴

①職業と資格(教育)が直結

・例えば、ジャーナリストになるには、ジャーナリストの学位を取らないといけないという風に職業と教育が直結している。しかも、ジャーナリストの仕事も細分化されていて、それに対応する学位/資格を取る必要がある。

 

②出世がない。

デンマークでは雇用時に定められた仕事内容で給与が決まる。

・仕事に見合った報酬を得ることが「公平」。

・昇給・出世はない。課長ポストが空いたら外から課長を公募する。

 

③意外にドライ。

・仕事ができないとあっさり解雇。労働組合は会社ではなく業界で作る。人の横の異動(転職)が多い。

・高校でも、弁当を忘れたら忘れた本人の責任で、ご飯を分けてくれる人はいない。教員もスルー。すべては本人の自立のため。

・学力的に、精神的に習熟していなければ、10年生や留年をすんなりする。追いつこう的なことにはならない(だから塾もない)。

 

④塾やクラブはないが、お稽古は盛ん

・余暇活動教育と言って、国民が希望すると、公的なおけいこ教室(有料)ができる。ただし、教室できるまで時間がかかる・・・。



気になったこと

不登校は、善か悪か

デンマークの落ちこぼれ=「登校拒否をするような子供たち」と書いているのだが、別のデンマーク関連の人に話を聞くと、不登校は単なる選択で家庭で教育すればいいし、大した問題ではないと言う。

というか、無理に学校行く必要ないって筆者も書いてるし、なんかそのへんは特に腑に落ちなかった。

 

デンマークには、本当に格差はないのか?

この本でもやっぱり、デンマーク社会に格差がないっていってるんだけど、私の友人のデンマーク人は、自分がWorking Classであることをものすごい気にしていて、そんな僕が大学に行くなんて、やっぱり無理なんだといつも落ち込んでいた。

そんな社会が「格差のない社会」なの?っていうのが私の一番の疑問で、この疑問に対する答えを見つけるために、北欧社会の勉強会に行ったり、本を読んだりしている。

答えはまだ見えなかった。

 

 

一番考えたこと

他の本を読んでいてもそうなのだが、北欧社会は意外にドライだということがわかってきた。

日本は北欧社会を理想の社会のように言うけれど、はき違えている部分も多いと思う。

割とすぐにリストラされるし、自己責任の社会だし。

なぜか最近北欧社会のあら捜しをしている私は、このへんのこと、もっと知りたいなーと思った。

スウェーデンの保育・幼児教育~保育における民主主義を考える~

保育事業者のグローバルキッズさん主催のシンポジウム「世界の保育・幼児教育を探求する~スウェーデンの事例から日本のこれからの教育・幼児教育を考える~」に参加したのでメモ。

 

「諸外国の取り組みを単純に取り入れても、うまくいかない」

汐見稔幸先生(東京大学名誉教授・日本保育学会会長)の講演「これからの保育・幼児教育~諸外国と日本」が今回のシンポジウムで一番面白かった!頭の回転が早すぎて、当方7割くらいの消化率だけど。。

 

汐見先生からまずあった話は、歴史や生活、文化などは国によって違うので、単純に諸外国の取り組みを取り入れてもうまくいかないことが多いし、できてもすごく表面的な模倣になってしまうという注意。

違うことはいいこと。「文化は違いがあるから豊かなんだ」「違うということの価値を認めるべき」という言葉がとっても印象的だった。

 

じゃぁどうする?というと、自分たちの今のやり方をしっかりと分析し、今の時代に合わなくなったこと等をしっかりと洗い出す・・・単純に言うと、課題を洗い出したうえで、外国のシステムから学びましょうってことだそう。

(これほんと大事。北欧社会にも問題点はあるし、日本もいいところあるよーと思うんだけど、具体的に何?っていわれると、まさに分析ができてなくて歯切れよく話せない自分が思い当って反省した。。)

 

日本の教育の問題点

汐見先生はいくつか日本の教育の問題点を挙げていた。その多くは、良いところの裏返しでもあるのだけど。

(1)異年齢で群れて遊ぶことがなくなった

70年前は、近所の子たちが集まって、異年齢で遊ぶことが多かった。まず、これは、①多様な人間関係を処理する能力が育つという点ですばらしい学びだったらしい。

例えば、異年齢のグループをまとめる力。昔のガキ大将がビジネスで活躍するってのはよくあることで、社会では異年齢の組織の中で活躍するというのはマストな力なのである。

また、②異年齢で遊ぶことで「にーちゃんかっこいい!」という憧れ=ナナメの関係が生まれるという利点もある。(よくいうロールモデルというやつか。)

 

一方で、今の日本は、「みんなで一緒にやるということが大切だ」というムラ社会的な感覚が強く残ってしまっている。それはそれでいいことなんだが、外国からしたら、運動会や体育の「まわれー右!」みたいなのは軍隊か!というツッコミが入るものらしい。。

例えば、欧米では、シュタイナー教育も、モンテッソーリ教育も、3~5歳は1つのクラスになるらしい。日本は子どもの数が多いから仕方ないのかもしれないけど。

(同じ年齢の人たちだけで集まる組織って、人生通して日本の学校くらいだよね、ほんとに。)

 

(2)察するのはOKだが、「おせっかい」はNG

海外の教育者からすると、日本の教育現場はおせっかいすぎるらしい。つまり、子どもの学びに手を出したり、声をかけたり・・・が「やりすぎ」だということ。

これは、子どもたちに共感ができる人たちで素晴らしい、とも捉えられるのだけども、察しの文化を超えて、おせっかいになってしまったら、それじゃぁ子どもが育たないよねってことらしい。

だから、外国では「やりたいペースでやらせて、それを見守る」というスタンスでいることが多いらしい。

 

発達学的に言うと、自分のやりたいことを自分のペースでやることってすごく大切なんだって。「やりたいことやらせるとワガママになるのでは?」と思う人が多いが実は逆で、やりたいことを抑えられると逆にワガママになってしまうのだそう・・・。(あーなんか思い当る)

 

(3)丁寧さはいいが、大胆さがない

日本人は明治中期までの職人文化が根付いているのか、今日の教育現場についても「子どもたちに対してすごく丁寧」。

でも、一方で、大胆さが足りない。これは、たぶん外遊びができないっていうことも関係しているのだろうけども。

 

(4)どういう社会を作りたい?というのがない

日本には「市民」(※citizenの方の市民)が少ない。市民には、私たちが主体となって社会を作るっていう意味が含まれているらしいのだが、これがないとのこと。

※市民とは、理想とする社会共同体の政治的主体の構成員(ググりました)

 

実は、日本の教育がうまくいっていた時代というのがあって、それは戦後1950年代。このころは、「もう2度と戦争をしない」「民主主義国家を作ろう」「産業社会にしよう」・・・という風に、こういう社会を作ろう!というのが明らかだった時代。この時期は、教育の教材が一番多く作られた時期でもあるんだって。

 

だから、これから「こういう社会を作りたいというのをもっと議論しよう」そして、子どもも市民なのだから「子どもの意見も取り入れよう」。

そのためには、意見を言うこと&人と違うことを楽しめるようにならないといけない。先生の「違うがたくさんあることが豊かさになる」という言葉がとってもとっても印象的だった。

 

日本の課題にヒントをくれるスウェーデンの教育

そんな課題を聞いた後に、スウェーデンの保育現場で実績を積んでいらっしゃるカミラ・リンドグレンさんとツーラ・トーロさんのお話があった。お二人の話にあった(個人的な)ポイントは、以下の2点。

・子どもが意見を言う、決める

・子どもが自分も影響を与えられるということを学ぶ

 

あぁこれまさに市民の形成につながるものだなって思った。「自分が選挙に行ったって、結局何も変わらないんだから」と、選挙に行かない知人が言っていたから。

 

デンマークと同じく、「選択」に重きを置く

スウェーデンの就学前学校のカリキュラムには、「民主主義的な人権尊重の価値観を定着させること」が任務としてはっきり書かれているんだそう。

スウェーデンの人たちにとって、「民主主義」とは、単なる多数決ではなく、「自分たちの手で、自分たちの社会を作ること」。あぁめっちゃかっこいいやん。市民やん。

 

そして、「人権尊重の価値観」というのは、まさに先日のデンマークの教育と同じく

・ひとりひとりの「らしさ」が発揮されることであり、

・「やりたいこと」「好きなこと」ができること。

それは、ただ手袋の色を何にするか選べるという意味だけでなく、授業で何をやるかまで子どもたちが関与して決める(=選ぶ)ということ。

(何故これで授業が成り立つのかが日本人の私にはさっぱりなんだけど、)子どもは自分が決定権に関与すると、自分で責任を取るらしい。

 

だから保育チームは、子どもたちが影響力を行使することに責任を持つ意欲と能力を育てることを目的にするんだと。

 

やりたいこと(希望・意欲・目標)⇔やるべきこと(義務・責任)

関東学院大学の久保健太先生が最後にまとめていて印象的だったのが、日本はやるべきこと(義務・責任)に重きを置きがちで、北欧はやりたいこと(希望・意欲・目標)に重きを置いているということ。

北欧の教育にはヴィゴツキーさんという人の思想が取り入れられているらしく、彼の思想には、「ココロが動けば、カラダは動く。カラダが動けば、アタマは動く」という考え方があるらしい。だから、ココロを一番大切にした教育をしているのだと。

 

結論としては、前に参加したデンマークの教育の結論とほとんど同じだった。実は教育の専門家が考えていることって、みんな同じなんじゃないかって思ってきた。

日本の教育には「子どもたちが選択すること」が欠けていて、結局それは日本社会の民主主義の弱さの原因になってしまっている、ということだ。

世界一しあわせな国・デンマークの教育のおはなし①選択・政治参加・寛容

イベント「世界一しあわせな国の教育のおはなし ~デンマーク人はなぜ世界一しあわせ?ランキングではわからない、しあわせの指標~」に参加したので、講演メモ。

 

イベント概要

デンマークで教育の仕事に従事しているお母さん3人組ユニット「mormormor」(morはデンマーク語で「お母さん」という意味)。

「北欧ってすばらしいよね!」とよく日本で言われるけど、どうやったらそれを日本にも取り入れられるのか?ということを考えたいと思い、帰国のタイミングで、デンマークの教育についての実践を広める講演会を開いているそう。

メンバーはそれぞれ、
自閉症児のための 特別支援学校に勤務
・公立学校併設の特別支援学校に勤務
・レッジョエミリア教育を導入している公立保育園に勤務
ということで、事例のお話が中心だった。

 

「選択」を大切にするデンマークの教育

講演内容で、まず印象に残っているのは、デンマークの教育は「選択」に主眼を置いているということ。

デンマークの学校教育法には、「自らの考えとそれに伴う実行をする力を身に付けましょう」と書いてある。(教育の目的を「全人格的な成長」と書いている日本とは大きく違うな・・・)

なので、教育現場でも、子どもが自らの意思で選ぶ場面を意識的につくって、言語化して、自分は何が好きなのかというアイデンティティを徹底的に作り上げるらしい。

 

「なるほど、だからデンマークは政治への関心が高いのね」と思ったところで、やはり選挙に関する事例の紹介があった。

・学校では、抗議文を作ったり、新聞の投書欄へ投稿するという宿題がでる。

・デモが盛んで、子どもが「学校の給食がまずいから業者を変えてくれ」というデモをすることある。(その声は実際に市長に届いて改善されたらしい)

・選挙の日の夜に学校に集まって、ポップコーン食べながら選挙速報を見る会がある

 

そんなんだから、大人になっても政治への関心はめちゃくちゃ高い。

・投票用紙に立候補者全員の名前をちゃんと載せるというフェアさ。

・立候補者がめちゃくちゃ多く(近所の人や知人が多数)、投票用紙が1メートルくらいになる。

「なんで北欧は政治参加率がそんなに高いのかなー」とずっと疑問だったのだが、長年の謎が解けたような気分だった。

 

選択時に1つだけ守らないといけないルール

「選択」を重視するデンマークであるが、この選択と自己決定権の裏には、だた1点「ただし、法と他人の自己決定権をおかしてはいけない」という共通認識があるらしい。

 

ふと思ったのだけど、これは、教育哲学者の苫野一徳先生が「自由」について書いていらっしゃることと近い気がした。他人の自由を侵さない範囲で、人間は自由であるということと。

そういう意味で、デンマークは本当の「自由の国」なんだと思う。

 

「選択」と隣り合わせの「寛容さ」

このように選択しまくりのデンマークの教育なのだが、こういう風に、「個々が好きなものを選択することができる」ということは、同時に「自分の意見が認められる」ということを意味している。

実はこれは、デンマーク社会の寛容さにも繋がっていて、「自分の意見が認められるから、他人の意見も受け入れよう」という考え方になるらしい。

 

 

日本の多くの大学生は、就職活動の時に「ずっとやることを押し付けられてきたから、急にやりたいことを聞かれても分からない!」となるけど、デンマークだと、こういう事態はありえないんだろうな・・・。 

長くなりそうなので、続きは後日。

 

***余談***

講演会の中で出た、「『選ぶ』ということは、『自分の人生に影響を与えること』」という言葉がすごく印象に残った。私もスーパードメスティックジャパニーズとして、選択が苦手なひとりだから。