Edu Memo

教育に関するあれこれ。忘れないようにメモ。

世界一しあわせな国・デンマークの教育のおはなし①選択・政治参加・寛容

イベント「世界一しあわせな国の教育のおはなし ~デンマーク人はなぜ世界一しあわせ?ランキングではわからない、しあわせの指標~」に参加したので、講演メモ。

 

イベント概要

デンマークで教育の仕事に従事しているお母さん3人組ユニット「mormormor」(morはデンマーク語で「お母さん」という意味)。

「北欧ってすばらしいよね!」とよく日本で言われるけど、どうやったらそれを日本にも取り入れられるのか?ということを考えたいと思い、帰国のタイミングで、デンマークの教育についての実践を広める講演会を開いているそう。

メンバーはそれぞれ、
自閉症児のための 特別支援学校に勤務
・公立学校併設の特別支援学校に勤務
・レッジョエミリア教育を導入している公立保育園に勤務
ということで、事例のお話が中心だった。

 

「選択」を大切にするデンマークの教育

講演内容で、まず印象に残っているのは、デンマークの教育は「選択」に主眼を置いているということ。

デンマークの学校教育法には、「自らの考えとそれに伴う実行をする力を身に付けましょう」と書いてある。(教育の目的を「全人格的な成長」と書いている日本とは大きく違うな・・・)

なので、教育現場でも、子どもが自らの意思で選ぶ場面を意識的につくって、言語化して、自分は何が好きなのかというアイデンティティを徹底的に作り上げるらしい。

 

「なるほど、だからデンマークは政治への関心が高いのね」と思ったところで、やはり選挙に関する事例の紹介があった。

・学校では、抗議文を作ったり、新聞の投書欄へ投稿するという宿題がでる。

・デモが盛んで、子どもが「学校の給食がまずいから業者を変えてくれ」というデモをすることある。(その声は実際に市長に届いて改善されたらしい)

・選挙の日の夜に学校に集まって、ポップコーン食べながら選挙速報を見る会がある

 

そんなんだから、大人になっても政治への関心はめちゃくちゃ高い。

・投票用紙に立候補者全員の名前をちゃんと載せるというフェアさ。

・立候補者がめちゃくちゃ多く(近所の人や知人が多数)、投票用紙が1メートルくらいになる。

「なんで北欧は政治参加率がそんなに高いのかなー」とずっと疑問だったのだが、長年の謎が解けたような気分だった。

 

選択時に1つだけ守らないといけないルール

「選択」を重視するデンマークであるが、この選択と自己決定権の裏には、だた1点「ただし、法と他人の自己決定権をおかしてはいけない」という共通認識があるらしい。

 

ふと思ったのだけど、これは、教育哲学者の苫野一徳先生が「自由」について書いていらっしゃることと近い気がした。他人の自由を侵さない範囲で、人間は自由であるということと。

そういう意味で、デンマークは本当の「自由の国」なんだと思う。

 

「選択」と隣り合わせの「寛容さ」

このように選択しまくりのデンマークの教育なのだが、こういう風に、「個々が好きなものを選択することができる」ということは、同時に「自分の意見が認められる」ということを意味している。

実はこれは、デンマーク社会の寛容さにも繋がっていて、「自分の意見が認められるから、他人の意見も受け入れよう」という考え方になるらしい。

 

 

日本の多くの大学生は、就職活動の時に「ずっとやることを押し付けられてきたから、急にやりたいことを聞かれても分からない!」となるけど、デンマークだと、こういう事態はありえないんだろうな・・・。 

長くなりそうなので、続きは後日。

 

***余談***

講演会の中で出た、「『選ぶ』ということは、『自分の人生に影響を与えること』」という言葉がすごく印象に残った。私もスーパードメスティックジャパニーズとして、選択が苦手なひとりだから。